浮きの小箱

雑感を小箱に詰めていきます。

読書『セバット・ソング』

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セバット・ソング  谷村志穂

 

谷村志穂さんは札幌生まれ。大学は北大農学部

北海道を舞台の小説のリアリティー

メイドイン北海道の人にしかない質感というかな。

そういうものを肌で感じながら、読むことができる数少ない作家さんである。

 

 

2017年刊行の「大沼ワルツ」に続く、大沼が舞台の第二弾の小説が「セバット・ソング」。

 

「大沼ワルツ」は実話をもとに、若い二人が大沼で結婚し、やがて大家族になってゆくという過程と、北海道大沼地区が観光地として開かれてゆく様子が並行する、スケールの大きな物語

こういう質のいい小説が売れてほしいと思ったものです。

 

かたや、今回は、大沼湖畔に佇む2つの児童更生施設が舞台。

今回も実際に七飯町に存在する「大沼学園」が小説の舞台のイメージ像というのは、分かり過ぎるくらいだ。

大沼には「セバット」という白鳥が渡来して羽根を休める場所が実際にあるそう。

主人公の兄と妹の「セバット」、安息と安寧の場所とは…。

 

谷村さんにとって大沼という土地は、小説のモチーフが浮かんでくる稀有な場所かもしれないです。

ある意味、大沼の捉えどころがない神秘性が、魂を揺さぶるのかも。