浮きの小箱

雑感を小箱に詰めていきます。

読書『人生はどこでもドア』

f:id:ukiukibox:20200704160920j:plain

 

人生はどこでもドア リヨンの14日間  稲垣えみ子

 

 

稲垣えみ子さんには、一度お会いしたことがある。

稲垣さんの小さなトークショーみたいなものを聞きに行って、階段の踊り場でバッタリお会いして、二言三言、お話させていただいてだけなのだが…。

 

稲垣さんは「顔」がチャーミング。

お人柄が「お顔」で100%理解できる、わかりやすいお顔立ちで羨ましい。

遠い国の、その国の言語もほぼ話せず、理解もほぼできず、英語力に長けてるわけでもないのに、小さなキャリーバッグ一つで二週間の旅に出る。

「旅」の目的は観光ではなくて、「リヨンの町でいつものように暮らすこと」。

行き当たりばったりの鉄砲玉のようだが、稲垣さんはそのチャーミングな人となりを最大限活用して、街の中のマルシェやカフェ、ワインショップなどに出没し、次第に溶け込み、アフロヘアーの謎の微笑みの東洋人の印象を強く残すのだった。

 

コロナ禍の今、

「どこでもドア」も使えないこんな日常が来るなんて、ドラえもんも想像だにしなかったでしょう。

 

 

この本のあと、もう2冊読み終わっているのだけど、こまったことに小箱へ投函するのが追い付いていかない。

もっとサクサク投函できるはずだったのにナ。

しかし、焦ってはいないよ。

キーボードの指の動くまま(動かない時はほっとく 笑)、小箱へ投函していきますから。

 

 

 

読書『道行や』

f:id:ukiukibox:20200625171619j:plain

 

道行きや  伊藤比呂美

 

カリフォルニアで男と暮らし、子どもを育て、介護のために日本と行き来、父母を見送り、夫を看取り、娘と離れて日本に帰国。現在は、仕事のために熊本と早稲田を行ったりきたりする日々。漂泊しながら生き抜いてきた、伊藤比呂美が見ている景色とは――。女たちの暮し、故郷の自然、一頭の保護犬、河原の古老、燕や猫やシイの木やオオキンケイギク、そして果てのない旅路に吹く風……。人生いろいろ、不可解不思議な日常を書き綴る、珠玉のエッセイ集。

 

 

わたしは比呂美さんのことを、「カルフォルニアで男と暮らす」前から知っている。

カルフォルニアの男」の前、「ポーランド文学者の日本男性」と結婚していたころから勝手に知っている。

良いおっぱい悪いおっぱい」「おなかほっぺおしり」は、ポーランド文学者である前夫との間に授かった女児二人を「がさつ・ぐうたら・ずぼら」を合言葉に育てたという比呂美さん著の破天荒な育児書だ。

この育児書(というよりエッセーだな)を手にして、当時のわたし、くっくっくと笑ったのだ。

「母親はこうあるべき」で身も心もギューギューだった日々に、気持ち良い風が吹きこみ、読後には窓を全開したような開放感を 感じたものだった。

 

カルフォルニア男」と結婚し、さらに一児を設け、育児エッセー「おなかほっぺおしりトメ」を発表した時は、なにかほのぼのとした気持ちで読ませてもらった。

ほぼほぼ子育てが終わっていたわたしは、熊本弁とカルフォルニア弁のバイリンガルのトメちゃんの育児に奮闘する比呂美さんを心から応援して、この著書を読んだ。

「比呂美さん、やっぱりはんぱない!」って。

 

子育てを終えた比呂美さんにやってきたものは、親の介護と年の離れたカルフォルニア夫の介護、そして看取り。

それらのことは、著書「父の生きる」や「切腹考」に書かれていて、同じころ、やはり父を亡くしたわたしにも痛い心が伝わった。

 

比呂美さんは今や早稲田大学の教授である。

っていうか、もともと詩人で、多くの詩集も出版し文学賞なども多数とられた偉大な方なんだった。

wlikipedhiaを見ると、その華々しい経歴に「おなかほっぺおしり」などは異質な感じすらするけれど、きっとわたしのような、比呂美風育児エッセーのファンもいると思うのよね。

 

難しくて理解しがたい著書もあり、それはなんとなく書の気配で感じるので、手を出さないことも往々にしてあるけれど、「道行や」は、漂流しながら生き抜いてきた比呂美さんが立ち止まり、この通過点で感じたことのアラカルトが書かれていて、手を出さずにいられない一冊だった。

 比呂美さんの回りにいろいろな不思議は、わたしたち凡人には持ち合わせていない感情から生まれる不思議なんだろう。

人生の不思議さを、不本意でも心から受け入れ、全力で悩み闘う姿に、生涯リスペクトし続ける方です。

 

 

 

読書『あなたの本当の人生は』

f:id:ukiukibox:20200621172319j:plain

 

『あなたの本当の人生は   大島真寿美

 

初読みの作家さんである。

大島さん、齢が近いので読んでみたいと思いつつ、今まで手が伸びなかった。

これはタイトルでちょっと心が揺れ動いたのと、「書くことに囚われた女たちの三者三様」という本の帯の文章に「むふっ」と興味が持てたから。

 

三人の物書きの女性が展開するストーリー。

地に足がつかないふわふわした感じで物語は進んでいく。

というか、わたし自身がつかみどころのないストーリーに、ふわふわしたんだ。

意味深なタイトルに勝手にときめき、登場人物の物書きの女性三人に、勝手に骨太なイメージを期待したためのこと。

 

誰が誰に語りかけてるのか、途中わからなくなる。

理解力がないというより、集中が途切れちゃったんだと思う。途中で止めたいと気持ちをぐっと抑えて、なんとか読了す。

ほっ、と安堵のため息。

ただ読了したいがために、読みすすめることもたまにあります。

この小説はそんなんだった。ただただ大島さんにゴメンナサイ。

 

本との相性って、確かにあります。

人との相性に近い感じで、ふつうに存在します。

 

 

はてなブログ、初めての投稿です。

本はたいてい図書館で借りるので、このブログは読んだ雑感をここに書いて残しておく場所です。