読書「ライオンのおやつ」
ライオンのおやつ 小川糸
わたしはふつうに見えるけれど、実はへそ曲がりな気持ちを持っていて、小川糸さんが書くような、優しく温かな、赤ちゃんのおくるみのような小説は、「ふ~ん」くらいな気持ちで、実は実はなんとも思わない。(ここまでで「実は」が3回)
「ツバキ文具店」や「キラキラ共和国」だって、鎌倉が舞台でなければ、実は読んでいなかった、と思う。(また「実は」出た!)
糸さんの目を通した、鎌倉の風景や暮らしの描写はとても好きなのだけど、主人公ポッポちゃんにはそれほどシンパシーを感じていない、というのが本音だ。
「ライオンのおやつ」に戻りましょう。
穏やかな気候の瀬戸内のホスピスに主人公はいる。
余命短いひとたちが、人生の最後に食べたいおやつを、エピソードと共に手紙に書き、リクエストするというストーリーは、「死」という辛く哀しい重たい事実をやんわりとオブラートに包んだミルキィ仕立て。
糸さんの書く小説の主人公は、一貫して洗いざらしのコットンのような女性像。
リンネル系というのかしら。
糸さんのファン層もリンネル系女子が多いんだろう。
この小説、わたしにはそれほど…という感じではある。